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  • 執筆者の写真ミズコウアキヒコ

モノセパージュの最高峰と言えるワイン

ワインバーマガーリ店主のミズコウです。


今日は、久しぶりに飲んで「ウホっ?!」とワタシの中のゴリラ性を呼び覚ましたワインをご紹介したいと思います。


タイトル通りのこのワイン・・・





このSERシリーズは、ヴィニャ・マーティの畑の中でも、最も素晴らしいテロワールを

持つ、アルト・マイポのDOピルケにある「クロ・デ・ファ」から生まれます。


生産されるワインは3種類、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、シラー。


それぞれがヴィニャ・マーティのアイコンワイン「クロ・デ・ファ」を造る要素となります。


つまり、このSERシリーズは、ヴィニャ・マーティの枠を超えて、チリで生産される単一品種ワインの最高峰として位置付けることができます。

名高いマイポヴァレーの中でも上位のアルト・マイポ、その中でもより優れた条件を持つDOピルケ。


チリという枠すら超え、個々のブドウ品種のもつパフォーマンスを最大限味わうことができる珠玉のモノ・セパージュワインシリーズなのです。





SERという言葉は“存在”を意味する言葉です。


単一品種100%で作るこのワインは、そのブドウ品種事体を語るかのように強い個性で飲む人に訴えかけてきます。

しかし、そのような表向きの意味以上に、パスカル・マーティ氏は、ヴィニャ・マーティで働くすべての人々へのオマージュを込めた言葉である、と語ります。

SERは“私”でもあり“あなた”でもあり、“彼・彼女”でもある動詞。


ワイン造りという、一見華やかに見える仕事の影には、マーティ氏はもちろん、多くの人々がブドウ畑に出て行う日々の基礎的な作業があります。



とりわけ、乾燥した気候で、絶えず土埃を抑える努力を要するチリでの労働は、ワインの出来不出来を左右する大切な要素です。


この作業無くして、ブドウがテロワールのポテンシャルを表現することは不可能ですし、そのテロワールを映した果実無くして、パスカル・マーティ氏は優れたワインを造ることはできません。


その年ごとの天候、土壌(テロワール)はワインの中でも重視される要素ですが、それと同じくらい大切な、“人”の存在、そんな思いを込め“SER”と名付けられました。





収穫はすべて手摘み。


選果台で健康な果実だけに選別し醸造します。


伝統的な方法、まず数日間の醸しを行い、その後24?26度の温度で発酵。


アルコール発酵中は適宜バトナージュを行い、循環させながら果実の色や風味を抽出するようにしますが、手のかけすぎに注意を払います。


14~16か月間フレンチオーク樽(50%新樽、50%1年使用樽)で熟成。


樽はシルヴァン社製の最良のものをフランスより輸入し、使用します。


瓶詰後、少なくとも2年間瓶内熟成を経て、飲み頃にリリースされます。


醸し、醸造の過程から瓶詰まで、マーティ氏自身が全ての工程を管理します。





DOピルケの中でも、砂利質で水はけの良い土壌、ちょうどボルドーのポイヤックを彷彿とさせるような地域に、カベルネソーヴィニョンが植えられています。


通常4月から始まるカベルネの収穫ですが、このピルケは標高が高いため完熟が遅く、雪が降る一歩手前、時には6月まで待って収穫されます。


結実から収穫するまでの期間が長くなると、自然とワインには複雑味が出てきます。


タンニンは厚く味わいの凝縮したフルボディで、かなり長期熟成できるポテンシャルを秘めています。




この「アルト・マイポ」に存在する、赤ワイン最上のテロワールの一つがDOピルケ(PIRQUE)です。


ヴィニャ・マーティでは2ヘクタールの畑を所有します。


このDOは、マイポの中でもさらに限定されたエリアを示すDOです。広域のマイポ・ヴァレーの中にアルト・マイポがあり、その中で特別な区画がDOピルケの認定を受けます。


ボルドーで例えば、広域のボルドーの中にメドックがあり、さらに限定されたポイヤックがあるのと同じ形になります。


パスカル・マーティ氏は、アルマヴィーヴァ造りの中でこの土壌を知りました。


当時、ここはブドウ畑ではなく、1999年に実験の意味も込めて、個人的プロジェクトとしてこの土地にブドウを植えました。



6250本/haという密植度が高い状態で、この土地のポテンシャルを測りたいと考えたのです。


収穫量はブドウの樹1本あたり1kg以下に必ず抑えます。


パスカル・マーティ氏は、何よりもこのピルケという場所のポテンシャル、テロワールを信じています。


「チリにはテロワール、ヴィンテージの個性は存在しない、と言う人もいる。


多くのワインは、確かに毎年美味しく、安定している。ボルドーのように、当たり年だから飲みたい、という声もあまり聞かない。


しかし、それは一つのワインを、広大な畑で大量に作ることで、標準化されているのが原因だと思う。個性がぼやけて、平均化されてしまうからだ。


ある特徴的な土壌があって、その土地から収穫されたブドウだけでワインを造れば、テロワールはもちろん、ボルドーのようにヴィンテージの個性がしっかり感じられる。


例えばクロ・デ・ファのあるピルケは、小区画でチリでは標高がもっとも高い。


昼夜の寒暖差が激しく、霧がよく発生する。


表土は水はけが良い石灰質、地中は粘土質という土壌だ。


この土地から生まれるワインの味わいのベースは変わらない。


そして、その味に加えて、その年の気候によってワインの味わいは毎年変わる。」



五大シャトー「ムートン」、カリフォルニアの「オーパス・ワン」の後に、チリを代表するプレミアムワインの「アルマヴィーヴァ」を手掛けた時、彼はチリの類まれなテロワールを知りました。


しかし、現状の大規模生産では、そのポテンシャルを引き出すだけのワイン造りが出来ない事にも気づいていました。


彼の胸の内には、自身のワイナリーを造りたいという思いが芽生えたのもこの頃です。


2003年、アルマヴィーヴァでの自身の役割を果たした、との思いから、彼は自身のワイナリー設立に向け、動き始めます。


コンサルタントとして世界中を回りつつ、ワイナリー設立準備を進めました。


「あのムートン、オーパス・ワン、アルマヴィーヴァを手掛けたパスカル・マーティ氏が新ブランドを立ち上げる」


噂を耳にし、ワイン業界内外で彼の夢に共感した人が続出しました。例えば「ロード・オブ・ザ・リング」で有名な映画会社ニューライン・シネマ(現ワーナーグループ)のマイケル・リン氏や、元バロン・フィリップ・ロッチルド社の社長で、現在アメリカで輸入会社を経営するオリヴィエ・ルブレ氏もバックアップを申し出ました。


多くの人々の夢も乗せて、2008年、満を持してマーティ氏自らのワイナリー「ディオニソス・ワインズ」を設立。


2013年、ヴィニャ・マーティと自身の名を冠したワイナリーへと変更、生涯をかけたプロジェクトとしての意気込みを表現するに至ります。



正直、個人的に赤の重たいワインが好きなので、洗練されすぎた「クロ・デ・ファ」より、しっかりとカベルネ・ソーヴィニョンの個性が浮き立つ「セール」の方が好みです。


先日の記事でご紹介した「ヴィニャ・マグナ」を飲んだ時にも「ウホっ?!」っと声が出たんですが、今回の「セール」がそれ以上の声が出ました(笑)


1杯3500円と少々お高いんですが、重たい赤がお好きな方はぜひ一度味わって下さい。


ゴリラになりますので(ヲイ)




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