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  • 執筆者の写真ミズコウアキヒコ

アルゼンチンワインの底力を見たり

WINE BAR MAGARRIの店主ミズコウです。


先般からお伝えしている、アルゼンチンワインですが、飲んでいただいた赤ワイン好きのお客様から、軒並みお褒めの言葉をいただいております。


あまり聞きなれないブドウ品種のマルベックですが、特にフランスのボルドーのワインが好きな方には概ねご好評をいただいております。



プレ・フィロキセラのDNAが残るぶどう畑


|| フィロキセラ禍

19世紀後半、アメリカ大陸からヨーロッパへ持ち込まれたフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)は、フィロキセラに抵抗力を持たないヨーロッパのブドウ畑を食い荒らし、たちまち広がっていきました。

1862年にフランスで発生した被害は、わずか10年のうちにスペイン、ポルトガル、ドイツ、オーストリア、イタリアと周辺諸国へと広がり、ヨーロッパ中のブドウ畑を壊滅させました。 現在では、フィロキセラに耐性を持つアメリカ原産のブドウの台木に、ヨーロッパ系のブドウを接ぎ木して植える、という方法で対応するのが一般的となっています。


長い年月の間に、ブドウ品種はフィロキセラへの耐性だけではなく、その他の病害への耐性を持つよう、また収穫量が上がるよう、少しずつ改良されてきました。

現在の多くのブドウは、栽培する上では非常に扱いやすい特性を備えていますが、オリジナルのDNAの味わいは少しずつ失われていきました。



|| フィロキセラの及ばない土地に受け継がれたオリジナルのDNA


一方、アンデス山脈の周囲に広がるぶどう畑は、その過酷な環境のおかげでフィロキセラの被害を受けず、19世紀にヨーロッパから持ち込まれたブドウ樹が未だ残っている畑があります。


これらは、接ぎ木もされず、品種改良もされず、当時のDNAを留めている貴重な存在です。

フランスでは見ることも難しい接ぎ木なしのフィロキセラ禍以前のマルベック種。


それがアンデス山脈の麓メンドーサで、ウコ・ヴァレーの土壌を調査していたチームによって発見されました。


詳細を調べた結果、このブドウ畑は、イタリア人移民家族が遥か昔に植えたマルベック種だけの畑であり、フランスからアルゼンチンに1853年にもたらされた木にルーツを持つ畑であることが判明しました。


しかも、最も新しいものでも1910年植樹の古木だけで構成された、樹齢100年超のヴィエイユ・ヴィーニュの畑だったのです。

2012年、このブドウを使って、150年以上前に失われたマルベック種だけを使用した、ユニークなワインを造るというプロジェクトが立ち上がりました。


情熱的な起業家、醸造家、ブドウ栽培家がこの計画に参画し、2016年、とうとうファーストヴィンテージとなるワインが生まれました。


この驚異のワインは多くの専門家、ワイン愛好家の知るところとなり、たちまち入手困難なプレミアムワインとなりました。


アルゼンチンとボルドーでワイン造りの経験を持つ、醸造家のマルチェロ・ペッレリッティ氏は、このプレ・フィロキセラのマルベックについて以下のように語ります。


"まず、栽培上の違いですが、現在のマルベックは、ワイン産業の為に改良されているものが多いです。


収穫量の増加、病害虫への耐性、管理のしやすさなど、大量生産が可能な性質へと少しずつ改良されてきました。


それに対し、昔の木は管理も難しく、成長にもばらつきがあり、収穫量も少ないです。 オリジナルのマルベックは栽培家にとってリスクが増えますが、代わりにワインの味わいに複雑味、多彩な風味を与えることができます。


一般的に、オリジナルの遺伝子をもつ自根ブドウから造られたワインは、素晴らしく調和がとれており、凝縮味があります。


接ぎ木されたり、遺伝子改良を施されたりした木に比べると、より原初のブドウが持つ特徴と力強さを反映していると感じます。"



|| かつてのフランスと同じ『取り木法』で拡張された畑

1853オールド・ヴァイン・エステートの畑は、ムグロンと呼ばれる手法で拡張されたものです。


ムグロンとは、マルコタージュまたはプロヴィニャージュと呼ばれているフランスの古い手法で、成木の枝の一つを土の上に置く、あるいは地中に一部を埋めて、そこでブドウの枝から根を出させます。


そのまま成長させ、3年後に親木から切り離します。そのため、全てのブドウは接ぎ木されていない、自根のブドウとなります。

フィロキセラのいない環境だから可能な方法ですが、かつてのヨーロッパでは、この方法でブドウの樹を増やすのが一般的でした。


この方法の場合、種子から増やされたものと異なり、100%同じDNAを持った個体になります。


もともとは同じ木なので、完璧なクローンのようにその特徴を受け継ぐことができるのです。

1853オールド・ヴァイン・エステートのマルベックは、高樹齢であるため、また原初のDNAのブドウであるため、自然と低収量になります。


平均的にブドウの樹1本に対し、4房が収穫できます。

房4つでワイン1本分程度作れますので、葡萄の木1本からワインボトル1本が造られる計算になります。


これが意味する事は、ワインに詳しい方にはお判りになるでしょう・・・。


いかに、力強く、凝縮された濃厚な味わいになるかを。


ワイン造りは収穫は全て手摘み。


選別後、ブドウを温度管理可能なステンレスタンクへ入れ、10日間コールドマセレーション(低温浸漬)を行う。


ドライアイスを使って液面に二酸化炭素の被膜を作り酸化を防ぐ。


この段階ではまだアルコールが発生していないため、特に注意して作業する。


低温浸漬を行うことで、ブドウの果皮からアントシアニンやブドウの風味、アロマが抽出され、ワインの総合的な品質が向上する。


その後アルコール発酵を行い、フレンチオーク樽(古樽)へ移し、マロラクティック発酵を行う。


12カ月間樽熟成を行い、その後バランスをとりつつ複数の樽のアッサンブラージュを行う。


瓶詰後に最低でも12カ月熟成させてから出荷する。


 

ワイン名(原語):セレクテッド・パーセル(SELECTED PARCEL)

生産者(原語):1853オールド・ヴァイン・エステート(1853OLD VINE ESTATE)

原産国・地域:アルゼンチン・メンドーサ

原産地呼称:ウコ・ヴァレー

ヴィンテージ:2019年ぶどう品種マルベック


2019年 James Suckling 95点


グラス:1500円→初入荷2本分の数量限定で今だけ1000円!



ワイン名(原語):ヘリテージ(HERITAGE)

生産者(原語):1853オールド・ヴァイン・エステート(1853OLD VINE ESTATE)

原産国・地域:アルゼンチン・メンドーサ

原産地呼称:ウコ・ヴァレー

ヴィンテージ:2017年

ぶどう品種:マルベック


2017年 James Suckling 94点


グラス:2000円→初入荷2本分の数量限定で今だけ1500円!



希少で貴重なオリジナルのマルベック種を、南米大陸で初のパーカーポイント100点を獲得した天才醸造家が、まるでオートクチュールの洋服の如き手仕事と、その経験から生み出される感性で紡ぎ出した赤ワイン。


アルゼンチン大使館でお披露目された8銘柄の中で、この2銘柄を飲んだ瞬間に、夫婦で同時に目を合わせて「これ凄いね!」と言い合った逸品です。


二人とも、カベルネ・ソービニョン主体のフランスワイン、それに果実味が加わったカリフォルニアワインが好きな私たちが、心の底から驚いたその力強く、凝縮された味にアルゼンチンワインの底力に驚愕しました。


このしっかりした骨格の味わいは、他の国のワインでは、この値段では飲めません。


フランスであれば、それなりの格付けの畑でしか出来ない味わいだと思います。


そうなれば、1杯5~6千円は出さないと味わえないと思います。


昨今、ナチュールや自然派ブームで、微妙な味のワインをありがたがり、高い値段を出して飲んでいる方も多いんですが、本当に美味しいワインは、基本的にナチュールで自然派です(苦笑)


そんなの当たり前すぎて、謳ってないだけで。


味で勝負出来ないワイナリーや輸入元が、売らんがためのマーケティングで、声高に謳っているだけです・・・。


当店は、高くて美味しいのは当たり前なので「この値段でこの味わい?!」と言う驚きのある銘柄をグラスでお出ししています。



流行に踊らされて、微妙な味のワインを高いお金出して飲んでいる方にこそ、当店で本当に腕の良い醸造家の醸す、本物のワインを飲んでいただきたいと考えています。


「今まで何を飲んでたんだろ・・・」とため息をついたお客様もおられます(苦笑)


ぜひ、本物のワインを飲みにいらしてくださいね!



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