WINE BAR MAGARRI店主のミズコウです。
昨今、世界中でブルゴーニュのワインの争奪戦が始まっており、ワインの価格が高騰しているようです。
しかし、お客様から「ブルゴーニュが好き」と言われたので、輸入元に味とコスパの良いワインを選んで仕入れたうちの1本がこれです。
先日の昼飲み営業の際に、ご夫婦でお越しになられたお客様が「ピノ・ノワールが飲みたい」との事でこれをお出ししたところ、非常に気に入られて「ボトルで買うから持って帰る」と言われてお持ち帰りになられました(笑)
それもそのはず・・・
ロマネ・コンティやモンラッシェ…世界最高峰のワインを生み出すブルゴーニュ地方。 その品質の高さから、「ワインの王」と呼ばれるブルゴーニュワイン。
例え特級、1級でなくとも、ブルゴーニュには、他の産地では得難い魅力があり、その味わいを求め世界中で争奪戦が起きています。
コート・ドールと呼ばれる人気のエリアは価格も非常に上がっており、普段気軽に飲めないワインになってきました。
そのような状況で、今注目を集めているのが、ブルゴーニュの掘り出し物、南部のコート・シャロネーズや、マコネと呼ばれる南部の地域です。
例えば、AOCマコンには、ムルソーの巨人と呼ばれる「コント・ラフォン」が、そのポテンシャルに魅せられ進出、本家と同様に力を入れ、次世代の銘醸地を築くべく力を注いでいることからも、その潜在的な実力を感じることもできます。
現地のブルゴーニュ愛好家が普段飲みワインを求め車で蔵巡りをする事も多く、高級ワイン産地というより、庶民的で、温かく和やかな雰囲気があります。 まさに、ブルゴーニュ好きなら抑えておきたい穴場産地なのです。
ヨーロッパの協同組合は、ワインに限らず食品全般に対し、非常にレベルが高い事で有名です。多くの地元の人が集まり、町のブランド価値を高める為、互いに切磋琢磨し、非常に高いレベルの商品を生み出していることを感じます。
今回新たなワインを届けてくれたのは、ブルゴーニュ南部、ソリュットレ、プイィ、ヴェルジッソンの栽培家たちが集まる、Vignerons des Terres Secretes(ヴィニュロン・デ・テル・スクレット)。
Terres Secretesは、秘密の土地、隠されていた土地、という意味がありますが、その名の通り、ブルゴーニュ地方でありながら、まだあまり知られていない宝物のようなこの地域をもっと発展させたいと願う、情熱溢れるブドウ栽培家たちが集まって生まれた協同組合です。
Vignerons des Terres Secretesは、ソリュットレ、プイィ、ヴェルジッソンを主に本拠とする栽培家たちが結集し1928年に設立されました。
現在120家族が参加し、栽培面積は960ヘクタールに及びます。そのうち60%がシャルドネです。
ブルゴーニュ南部の畑を代々守ってきた栽培家たちは、愛着あるこの地に誇りを持っていました。
彼らの哲学は、一貫して変わっていません。
それは「一歩一歩確実な、持続的な発展をすること」
決して爆発的な発展を望まず、環境に負荷をかけないよう、自分たちの子孫たちによりよい形で畑を継がせたい。
そう考えていた彼らは、設立当初から農薬や化学物質の使用を極力避けた、地道ですが、しかし地に足の着いた活動を行ってきました。
少しずつ発展させ、自分たちのワインの知名度を上げて、徐々に雇用を増やし、この周囲の村を盛り上げていきたいと考えていました。
この地域のシンボルは、ソリュットレという、大きな石灰岩の山。真っ白な石灰質土壌がベースの土地は、引き締まった酸や華やかなアロマをワインに与えます。
また、石灰質だけでなく、味に重みをもたらす粘土が混じる粘土石灰質土壌も、この地域の特徴です。
この土壌のもとで育つブドウは、香高く優雅な味わいと、ボリューム感を表現する事ができます。
因みに、ボルドーやブルゴーニュをはじめ、銘醸地と呼ばれる場所には、この粘土と石灰質のバランスよい組み合わせが外せません。
さらに、地域ごとに細かく見れば、個々にユニークなテロワールがある事がわかります。
堆積岩と呼ばれる大きな石に覆われている部分はブドウ畑は水はけが良く、雨が降ってもブドウが水っぽい味になる事はありません。
他にも下層にシリカ(ケイ素)を含む粘土質、花崗岩を含む火山性土壌で構成された土地や、マールと呼ばれる、白色泥灰土の土壌ではボリュームなど、バラエティ豊かな構成です。
それぞれの土壌から、個性の異なるブドウが収穫されるため、 ピノ・ノワールとシャルドネを単一品種で使いながら、深みのある、複雑な味わいを表現することができます。
現在の代表は、David Delaye氏です。
ワイン業界では非常に有名なシャブリの共同組合「シャブリジェンヌ」でマネージャーとして、その成功に貢献した人物です。
もともと栽培・醸造担当としてシャブリジェンヌで働いていましたが、後にマネージャーに抜擢されました。
栽培担当として、各生産者たちの畑をチェック、指導していくのはEmeline Meyer-Favre氏です。
彼女は栽培担当として様々な地域でキャリアを積んだベテランです。
ローヌの有名な協同組合カーヴ・ド・タン(エルミタージュ)やシャブリジェンヌ(シャブリ)、ボルドーの格付けシャトー、ベイシュヴェルなどフランス各地で働いてきました。
このように外部の優れた人材を招き、品質を高めていった事が功を奏して、現在ではフランス国内、周囲のEU諸国はじめ、アメリカ、アジアと世界中へワインを輸出するまでに成長を遂げています。
2016年度には、世界各地で開催された9つのワインコンクールにおいて、合計40以上のメダル受賞を果たすなど、確実に品質を高めていることを感じさせてくれます。
華やかな果実味、香り、穏やかな渋みのピノ・ノワールは和食と最高の相性を見せます。
赤紫蘇、チェリーを思わせる香り、リコリスを思わせる、穏やかな甘み、土の香り。
口に含むと穏やかな酸味、甘味のバランスが良く、僅かな渋みも感じます。
出汁を使い、素材の持ち味を生かした和食と良く合います。
野菜や肉料理はもちろん、イワシやサバなど、青背の魚の寿司、マリネなど少し香りが強いものとも良く合います。
この銘酒が、WINE BAR MAGARRIなら1杯1400円で飲めます。
アナタも丁寧に造られた本物のワインを飲んでみてください。
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