WINE BAR MAGARRI店主のミズコウです。
先日も記事に書きましたが、当店は自然派やVIOやナチュール専門店ではありません。
しかし、味とコスパで選んだ結果、たまたまほとんどのワインがオーガニックでした。
そんな中でもひときわ目を引く銘柄があります。
手摘み収穫後、100%徐梗した果実を使用。
温度管理を行いつつ、30日間発酵・醸しを行い、その間ルモンタージュを適宜行います。
ここまでのプロセスで破砕は行いません。
そのため、非常にピュアな、ブドウの繊細な風味だけを抽出することができます。
コンクリートタンク内で18か月間かけて安定させます。
この間にワインは複雑味を増します。
清澄は重力を利用した自然な方法のみで、フィルターがけは行いません。
ムールヴェードルは、滑らかなタンニンをもってワインの骨格を造ります。
シラーは果実味とスパイシーな風味を、グルナッシュは柔らかい質感とボリュームをワインに与えます。
余韻にミントを思わせる爽やかな香りが僅かに漂うのは、クラープのテロワールに因るものです。
私がこのワインを作る上で重視したのは、滑らかでバランスが良く、あれこれ考えずにシンプルに美味しく飲める事です。
難しくとらえず、このワインを楽しんでください。
黒く熟したプラムを丸かじりするような、いっぱいの香りと果実味。
プルーン、アメリカンチェリー、ブラックベリーの香りと、黒蜜やなめし皮、 それにハーブが混じるような複雑な香りが広がりますが、 ポイントはあくまでシンプルで美味しいと感じる果実味です。
辛口でキレも良いため、肉料理をはじめ、いろんな料理と合わせられますし、何杯でもグラスが進みます。
繊細な柔らかい口当たり、野ばらの香り、熟した果実の風味。陽光をたっぷり浴びたブドウから生み出されたワインだ。
フランスのヴァリューワイン、ベスト50に入る。(デキャンター誌)
ジャンシス・ロビンソン(マスターオブワイン)
「ラングドックワインの中でも、私のお気に入りの一つ」
スティーヴン・スパリエ マスターオブワイン
「シラーのスパイス感、グルナッシュの果実味、そしてボルドーのエレガンスを持つ」
エリック・ファーブルは、シャトー・ラフィット・ロートシルトを離れた後、自身のワイナリー設立のため、1994年から7年に渡り、忙しい日々の合間を縫って南仏の畑を訪ね歩きました。
そして、ついに一つの魅力的な畑にたどり着きました。
それがシャトー・リヴィエール・ル・オーでした。
ブドウ畑は緩やかな斜面に広がり、見下ろしたその先には地中海の美しい海岸が一望できました。
畑には魅力的な石積みの小屋(Mas)まで綺麗に残されていました。エリックは、一目でこのシャトーに魅了されました。
そして、この歴史あるシャトーを受け継ぎ育ててゆくことを決心したのです。
今やラングドック最高峰“クリュ”に認定されるラ・クラープの畑に、ボルドー最高峰で培った技を惜しみなく注ぎ、情熱のままにワイン造りに取り組んでいます。
醸造家エリック・ファーブルの経歴
1978年~1986年 Chateau Lamothe Cissac Fabre家の所有するシャトーで栽培、醸造に従事。 1986年~1994年 Chateau Lafite Rothschild 醸造責任者(テクニカル・ディレクター)として、栽培、ワイン醸造に携わる。 1994年~2000年 Domaines CGR (Chateau La Cardonne,Chateau Griviare et Chateau Ramafort) 傘下に複数のシャトーを持つドメーヌCGRにて最高責任者(ジェネラル・ディレクター)としてグループ内全シャトーの栽培・醸造の指揮をとる。 2001年~ 南フランスに理想の地を見出し移住。ChateauRiviere le Hautでのワイン造りに取り組む。
シャトー・リヴィエール・ル・オーの現在の建物は1789年設立のものです。
しかし、その前身は軍事目的のために築かれた剛健な城でした。
オード川の入り口という要衝に建ち、500年以上もの間、この川と周囲を通る交易路を守ってきたのです。
フランス王家がこの地を所領とした後も、常に王家直属の駐屯軍に管理させていた重要な場所でした。
革命の後、駐屯軍は去りましたが、1796年に、この城は軍務でなくワイン造りを行うシャトーとして再生しました。
以後同一家族がこのシャトーを密かに守り続け、ワイン造りを行ってきたのです。
2001年、このシャトーに出会ったエリック・ファーブルは強い感銘を受け、このシャトーと、ブドウ畑に強く惹かれ、この地に自身の残りの人生を捧げることを決意しました。
年間300日以上という高い晴天率。
病害虫を寄せ付けない強い風に、昼夜の寒暖差を生む地中海からの風。
岩とライムストーン石灰岩のごつごつとした土壌は、ブドウが地中深く根を伸ばし易く、野生のラベンダー、タイム、ローズマリーが生い茂る“ガリーグ”土壌は果実に豊富なアロマをもたらします。
人為的には決して作れない、このワイン造りに最適な環境は、シャトー・リヴィエール・ル・オーの原点となっています。
この土壌に実ったブドウは全て手摘みで注意深く収穫され、ブドウの選別、醸造、熟成を経て、最終的に醸造責任者であるエリック・ファーブルのアッサンブラージュ(ブレンド)によって完成します。
※ガリーグ(Garrigues)とは、ラベンダーやローズマリー等、低木の植物で形成される林の事です。主に地中海沿いの石灰質土壌に見られる風景で、強い日差しと乾燥した空気、アルカリ性土壌の元で形成されます。
このシャトーの素晴らしさを語る上で、「ラ・クラープ」の独特のテロワールを外すことはできません。
ラングドック最上位の一つとして、2015年から単独AOCの「クリュ」として認定されている「ラ・クラープ」。
この地は、2000年以上前の古代ローマの時代から、ワイン産地として高く評価されていた場所でした。
ごつごつとした岩肌が露出した独特な景観、この地をユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)は非常に好んでいた事が伝えられています。
ここに移り住んだローマ帝国の人々は、この土地がワイン造りに適していることを見抜き、積極的にブドウを植えました。
そして幾多の苦労を超えて素晴らしいワインを生み出すことに成功したのです。
こうして、ローマ帝国内でもワインの銘醸地としての地位を確立しました。
当時主に栽培されていたのは現代にも残る「ブールブラン」という白ブドウでした。
当時人気の高かったギリシャのマルヴォワジーと近似種として好まれたブドウ品種です(マルヴォワジーは、華やかな香りの白ワインを生み出す古典的品種です)。
ローマ帝国の後も、様々な国がこの地を支配しましたが、一貫してブドウ栽培は続けられてきました。
フランスの一部になったのは、ルイ13世の時代です。
以前のラングドックは、安くて美味しいワインを供給する一大産地として有名でしたが、「ラ・クラープ」は、その中で異質な存在でした。
とびぬけて優れたワインを生み出すポテンシャルを認められ、1985年から「ラングドック・ラ・クラープ」に認定されていました。
ラ・クラープの生産者たちはこの格付けに甘んじることなく、単独AOC格上げに向け、7年間奮闘してきました。
その結果が報われ、とうとう2015年6月9日に、INAO(国立原産地名称研究所)より正式に単独AOCの「クリュ」として認められたのです。
ラングドックで、赤、白ともに単独のAOCを獲得したのは、ラ・クラープが初めてです。
ブドウの品質を求めるため、1ヘクタール当たりの収量を非常に低く抑え、凝縮した果実を作っている点も特筆に値します。
畑の仕立ての違いはありますが、基本的には35ヘクトリットル/ヘクタールの低収量。
これはボルドー五大シャトーに匹敵するレベルの厳しい収量制限です。
低収量に抑える、といっても、それはグリーンハーヴェスト(間引き)に頼るわけではありません。
エリック・ファーブルの経験則に基づき、冬の剪定、芽かきが厳格に行われ、最初からブドウの樹1本につく果実の量が少なく抑えられています。
最初から、ブドウの樹が、少ない実にたっぷり養分を送り込むように設計されているので、途中で緑の実を落とす、間引きを行うような無駄をしないで済むのです。
こればかりは、深い経験無くしては成しえない、まさに匠の技と言えます。
フランス農水省公認のHVE※(High Value Environmental)の認証の中で、最も厳格なLevel3を取得しています。
優れたテロワールを活かすべく、ブドウ栽培は基本的に自然栽培を行います。
除草剤、殺虫剤など科学薬剤は使用しません。
もともと、乾燥して風の強いクラープには病気が発生しにくい土壌があります。
しかし、万一病気が発生した場合は、使用が認められている薬剤を最低限使用する可能性はあります。
※HVEとは、2011年からスタートした認証です。生物多様性、次世代へ引き継げる循環型農法をベースに制定される認証です。
ボルドーのシャトー・ラフィット・ロートシルトでの経験を活かし、ワインを重層的に組み立てるべく、目的に合致するブドウ品種を栽培しています。
■ワインの骨格を作るブドウ 赤ワイン:ムールヴェードル / 白ワイン:ブールブラン ■ワインにボリューム感、果実味を与えるブドウ 赤ワイン:グルナッシュ / 白ワイン:グルナッシュ・ブラン ■ワインに果実味や華やかさ、スパイス、余韻など特徴をもたらすブドウ 赤ワイン:シラー / 白ワイン:ルーサンヌ・マルサンヌ
ボルドーであれば、骨格を作るブドウ=カベルネ・ソーヴィニョン、ボリューム感を与えるブドウ=メルロ、ワインに個性・特徴を与えるブドウ=マルベック、プティ・ヴェルドこのように置き換えられます。
エリック・ファーブルは、自らの経験を元に、ラングドックの地で理想とするワインを再構築している、と言えるでしょう。
白いエチケットのクラシック・ルージュは1杯1200円で、ゴールドのエチケットのグランヴァン・ルージュは1杯2000円でご提供しております!
同じ値段の微妙な味のオーガニックワイン飲むなら、超一流の流儀で造られた一級品がいいと思いませんか?(笑)
「これが一流か・・・」と納得されると思います。
ボルドー好きもぜひ!
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