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  • ミズコウアキヒコ

ムートンやオーパスワンに大枚はたかなくても良くね?

WINE BAR MAGARRI店主のミズコウです。


少し前に、有名なワインが飲みたいって言われて「オーパスワン」と「シャトー・ラフィット」のセカンドラインを仕入れた際に、同時に注文したワインがあります。



チリのヴィニャ・マーティで造られた「クロ・デファ」と言うワインです。


そう、あのパスカル・マーティ氏の上級キュベです。




ヴィニャ・マーティの畑の中でも、最も素晴らしいテロワールを持つ、アルト・マイポのDOピルケにある、「クロ・デ・ファ」から生まれます。


パスカル・マーティ氏は、アルマヴィーヴァ造りの中でこの土壌を知りました。


当時、ここはブドウ畑ではありませんでした。


しかし、ボルドーのポイヤックのような、砂利質の水はけのよい土壌と地下に堆積する粘土層、さらに高い標高で、赤ブドウの栽培に向いているマイポヴァレーの中でも、さらに晩熟になることが予想できました。



1999年、実験の意味も込めて、個人的プロジェクトとしてこの土地にブドウを植えました。


6250本/haという密植度が高い状態で、この土地のポテンシャルを測りたいと考えたのです。


収穫量はブドウの樹1本あたり1kg以下に必ず抑えます。


数年後、ここから収穫されたブドウで試しにワインにしてみたところ、非常に高い品質のものができました。


パスカル・マーティ氏は、ここでアルマヴィーヴァに次ぐ自身第四作目のプレミアムワインを造ることを決め、本格的に取り組み始めたのでした。

パスカル・マーティ氏が常に愛情を注ぐこの畑の面積はわずか2ヘクタール。


1つのブドウの樹に付ける果実は1キロにも満たず、ブドウの樹1本から1本分のワインを作ることができない、厳しい収量制限を課します。


収穫した果実は、マーティ氏自身が、昔ながらの小型の醸造設備を使いながら全工程を手掛けます。


スモールバッチであるが故に、すべての作業は手作業に限りなく近くなり、そのおかげでマーティ氏は感覚を研ぎ澄ませながら、ワインのクオリティに100%集中してハンドクラフト的なこのワインを磨き上げてゆくのです。




熟成を経たワインの中から選別を重ねて選ばれた原酒をアッサンブラージュ(ブレンド)し、さらに数年の熟成を経て、マーティ氏自身のテイスティングをクリアしたボトルだけが、晴れて「クロ・デ・ファ」としてボトリングされます。さらに少なくとも2年間、ボトル熟成を経て初めてこのワインがリリースされ、世界中へ出荷されてゆきます。




この手間を惜しまず作られる作品は、当然ながら生産量は非常に少なく、ファーストヴィンテージである2007年度は、わずかに1800本でした。


その後も量は増えたものの、現在の年間生産量は3000本前後です。




五大シャトーのムートン・ロートシルトや、入手が徐々に難しくなっているオーパス・ワンは30万本以上生産しています。


ワイン業界で幻と言われる、あのロマネ・コンティでさえ6000本。クロ・デ・ファの3000本前後という数量は、全世界に対し出荷してゆくにはあまりにも少ない生産量です。

わずか2ヘクタールの畑では、大幅に増産することも叶いませんが、元よりマーティ氏にその考えはありませんでした。


これまでマーティ氏が手掛けてきたシャトー・ムートン・ロートシルト、オーパス・ワン、アルマヴィーヴァとは異なり、自分が理想とする味わいをデザインし、自らの手で作るワイン。完璧にコントロールするためには、これ以上の数量にすべきではない、と感じているからです。




チリで最も成功した、高品質な赤ワインを生む場所、マイポ・ヴァレー。


首都サンティアゴに近く、温暖な気候で岩石の多い土地が広がり、上質な赤ワイン、特にカベルネ・ソーヴィニョンが生み出されます。


その中でも、岩石の堆積した独特の土壌を持つ、「アルト・マイポ」は、プレミアムワイン産地として非常に有名です。


標高が高いため、このエリアのミクロクリマは非常に複雑です。


陽が落ちるとアンデス山脈から吹き下ろす冷風が、畑の気温を一気に押し下げます。


この昼夜の寒暖差のおかげで、ブドウの個性が際立ち、香と酸を与え、エレガントなワインを造る上で大きな恩恵をもたらします。


この「アルト・マイポ」に存在する、赤ワイン最上のテロワールの一つがDOピルケ(PIRQUE)です。ヴィニャ・マーティでは2ヘクタールの畑を所有します。


このDOは、マイポの中でもさらに限定されたエリアを示すDOです。


広域のマイポ・ヴァレーの中にアルト・マイポがあり、その中で特別な区画がDOピルケの認定を受けます。


ボルドーで例えば、広域のボルドーの中にメドックがあり、さらに限定されたポイヤックがあるのと同じ形になります。




DOピルケの土壌を一言であらわせば「マルゴーとポイヤックを合わせたような土壌」。


粘土質の土壌、上部にはところどころ深く、砂利質の水はけの良い土壌が広がります。


砂利質が深く水はけが良い場所にはカベルネ・ソーヴィニョン、粘土質の部分にメルロ、そして大きな石が転がる(ちょうどローヌを彷彿させるような)水はけのよい場所にはシラー種を植えました。


パスカル・マーティ氏は、何よりもこのピルケという場所のポテンシャル、テロワールを信じています。

「チリにはテロワール、ヴィンテージの個性は存在しない、と言う人もいる。


多くのワインは、確かに毎年美味しく、安定している。ボルドーのように、当たり年だから飲みたい、という声もあまり聞かない。


しかし、それは一つのワインを、広大な畑で大量に作ることで、標準化されているのが原因だと思う。


個性がぼやけて、平均化されてしまうからだ。


ある特徴的な土壌があって、その土地から収穫されたブドウだけでワインを造れば、テロワールはもちろん、ボルドーのようにヴィンテージの個性がしっかり感じられる。


例えばクロ・デ・ファのあるピルケは、小区画でチリでは標高がもっとも高い。


昼夜の寒暖差が激しく、霧がよく発生する。


表土は水はけが良い石灰質、地中は粘土質という土壌だ。


この土地から生まれるワインの味わいのベースは変わらない。


そして、その味に加えて、その年の気候によってワインの味わいは毎年変わる」。





アッサンブラージュはカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、そしてシラー。カベルネ・ソーヴィニョンでワインの骨格を作り、メルロでワインにふくよかなボディを与え、シラーをスパイスに効かせることで、キャラクターを与える、というのがもともとの設計でした。


全てのワインは自根栽培されており、ピルケのテロワールと、ブドウ品種の特徴をストレートに反映します。


マーティ氏のワイン造りのもと、ピルケという素晴らしいテロワールが化学反応を起こし、出来上がったのが「クロ・デ・ファ」という唯一無二の個性を持つ赤ワインなのです。


チリで有名なブドウ品種「カルメネール」は、このクロ・デ・ファの標高では作ることができません。代わりに、チリではやや難しいメルロが花開きました。


収穫期が遅いカベルネは、雪が降る直前、6月の収穫ですが、ブドウの果実が樹についている期間が長いおかげで、果実には深い味わい、香りが蓄積され、高い品質になります。


基本的な考え方は、ボルドースタイルのグラン・ヴァンを造るときと同じですが、唯一、異質なのが「シラー」の存在です。


マーティ氏は、ボルドーAOCのルールの枠を超えて、自分のイメージを具現化することもチリを選んだ理由の一つです。



テイスティングコメント訳:

2010年のクロ・デ・ファは、マイポヴァレーにあるたった2ヘクタールの畑の中でも最高のメルロ、カベルネ・ソーヴィニョン、そしてシラーから造られる。


単一品種から造るワインよりも繊細なニュアンスを表現しているが、香りはカベルネ・ソーヴィニョンが支配的、レザー、スパイス、ヒマラヤ杉、赤や黒、青の様々な小さなベリー類果実、奥深くに乳酸も感じる。


口に含むと繊細なミディアムボディの口当たり、重厚なタンニンがシルクのような質感を伴い心地よく、クリーンだが、ピリリと口を刺激するような強い風味が口の中に長い余韻を残す。


複数品種をブレンドする意味、単一品種で作るワイン以上の複雑性を見出すことができる。


今飲んでもすばらしい状態だが、この強い骨格が時間と共に熟成すれば、さらに充実させることができるだろう。飲み頃は2014-2021年。







五大シャトー「ムートン」、カリフォルニアの「オーパス・ワン」の後に、チリを代表するプレミアムワインの「アルマヴィーヴァ」を手掛けた時、彼はチリの類まれなテロワールを知りました。


しかし、現状の大規模生産では、そのポテンシャルを引き出すだけのワイン造りが出来ない事にも気づいていました。


彼の胸の内には、自身のワイナリーを造りたいという思いが芽生えたのもこの頃です。

 

2003年、アルマヴィーヴァでの自身の役割を果たした、との思いから、彼は自身のワイナリー設立に向け、動き始めます。


コンサルタントとして世界中を回りつつ、ワイナリー設立準備を進めました。


「あのムートン、オーパス・ワン、アルマヴィーヴァを手掛けたパスカル・マーティ氏が新ブランドを立ち上げる」


噂を耳にし、ワイン業界内外で彼の夢に共感した人が続出しました。


例えば「ロード・オブ・ザ・リング」で有名な映画会社ニューライン・シネマ(現ワーナーグループ)のマイケル・リン氏や、元バロン・フィリップ・ロッチルド社の社長で、現在アメリカで輸入会社を経営するオリヴィエ・ルブレ氏もバックアップを申し出ました。


多くの人々の夢も乗せて、2008年、満を持してマーティ氏自らのワイナリー「ディオニソス・ワインズ」を設立。


2013年、ヴィニャ・マーティと自身の名を冠したワイナリーへと変更、生涯をかけたプロジェクトとしての意気込みを表現するに至ります。




現在、輸入元にも在庫が無く、次回の入荷も未定なので、メニューには載せていません。


オーパスワンやシャトー・ムートンの1/10くらいのお値段で飲めますので、気になる方はお店で聞いてくださいね。


5大シャトーや、オーパスワンを飲んだ事のある方はきっと驚くと思います(笑)

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