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執筆者の写真ミズコウアキヒコ

『サッシカイア』『ソライア』のジャコモ・タキスの愛弟子

WINE BAR MAGARRI店主のミズコウです。


先日も紹介しましたが、あの方が醸造したもう一つのワインをご紹介します。






通常よりも長くブドウを木から切り離さずに残した陰干しブドウを使用します。


こうすることで、糖分や有機酸、ミネラルがよりブドウの果実に集中します。


発酵はステンレスタンクを使い、その後ステンレスタンクと、一部コンクリートタンクで熟成を行います。


南イタリアのプーリア州で、今注目を集める生産者ヴァローネ。


その理由は、なんといっても醸造家にあります。

ヴァローネの醸造家は、2007年以来、グラツィアーナ・グラッシーニ(Graziana Grassini)女史です。


名門ピサ大学で物理学と醸造学を学んだ経歴を持ち『サッシカイア』や『ソライア』を生み出したジャコモ・タキスの愛弟子の一人。


現在では、コンサルタントとしてイタリア中のワイナリーを顧客に抱えています。

2010年にはテヌータ・サン・グイドの醸造を務め、さらにブルネッロ・ディ・モンタルチーノ協会のアドバイザーも務めており、今では世界中から注目を集める醸造家の一人となっています。


今やイタリアのプレミアムワインの代名詞ともなっている「サッシカイア」を手掛けた、

グラツィアーナ・グラッシー二女史が、南イタリアの伝統的なブドウ品種で生み出すワイン。


注目を集めるのも無理はありません。




栽培

地中海から吹く風と、水はけのよい小石混じりの粘土石灰質土壌が広がる畑は、適度な水分、ほどよいミネラルバランスを持ち、高い品質のブドウを育てます。

それぞれの畑では、品種や気候条件に合わせた仕立て方で栽培がおこなわれていますが、一部の古い畑では、南イタリアの伝統的な手法であるアルベレッロ( alberello)という仕立てで管理されています。



これは日差しが強く乾燥している南イタリアで発展した方法で、盆栽のように幹を低く仕立て、日陰を造りやすい樹形になります。


広大なブドウ畑で一般的な垣根型と異なり、機械作業に向かないため手間がかかりますが、ブドウの寿命も長くなる傾向があり、樹齢が高くなる結果、収穫量も自然と抑えられます。


ワイン造りヴァローネのスタイルは非常にシンプルです。


「良い(健全な)ブドウを造ることが、良いワインには不可欠である」という事実が、全ての礎となっています。


セラーの中では多くの複雑な工程がありますが、全ては健全なブドウの味わいをいかに損なわずにワインへ変換するか、という点が大切だと考えているので、余計な手を加えないという事を心掛けています。


例えば、ワインの熟成に確たる目的がない限りは、オーク樽熟成は行わず、ブドウの個性に余計な要素を与えないようにします。


一方で、リゼルヴァワインなど複雑味のある味わいを造る為ならば、積極的にオーク樽は使用します。




アパッシメントとは、ブドウを陰干しし、ブドウの果実から余分な水分を飛ばすことで、濃密な味わいのワインに仕上げる製法の事です。


収穫後風通しのよい場所で数週間かけて、ブドウの凝縮した味わいを引き出すことができます。


単に水分を飛ばすだけではなく、ブドウの茎の養分が果実へと送られ追熟することで、通常の製法では表現できない濃密で優しい味わいが生まれます。


プーリア州やシチリア島など、南イタリアのアパッシメントには、上記の方法の他に独自の製法も見られます。


その製法は陰干しというより遅摘みの部類に入る独自の手法で、この土地の気候風土に合った技法です。


ブドウ畑の環境が良い場所、風通しがよい一部の地域で、通常よりも長くブドウを木から切り離さずに残し、樹についたまま、干しブドウのように自然に脱水させます。


こうすることで、糖分や有機酸、ミネラルがよりブドウの果実に集中するのです。


収穫時期の少し前になると、ブドウの房の茎の部分を一つずつねじります。


これは昔から南イタリアやシチリアに伝わる伝統的な方法ですが、こうすることで、ブドウの実を木に付けたまま乾燥させ、同時にしっかりとした酸味も残すことができます。


この酸味は、ワインの余韻にフレッシュ感をもたらし、全体のバランスを取る上で 最も重要な要素なので、手間はかかってもこの方法を取ります。




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